横路トンネル現場見学会 参加レポ

2月下旬の新聞広告に ”目標100万人!!第3回『ひろしま・100万人の現場見学会』の開催について〜ド〜ン!と貫通、トンネル工事〜”って広告記事が掲載された。

かねてより工事している、東広島・呉自動車道の横路(よころ)トンネルの貫通を祝うイベントである。当然、こなきも応募したが、70人定員枠に1600名を超える応募があり、抽選の結果落選となったとハガキが届いた。
(個人的な感情としては、呉・東広島自動車道って言って欲しいな)

しかし、この100万人の…イベントとは別に、横路地区住民の方々を対象とした現場見学会があると聞いたので、掲示板の方に「横路地区からこのイベントに参加される方が居られましたら、画像を撮影してきて下さい」とお願いしていたところ、とある方(匿名希望さん)が、多くの画像を撮影されてそれを私に寄付して下さいました。また、当日の様子なども箇条書きで寄せて頂きました。

よって、今回の広町スケッチは、匿名希望さん取材、こなき編さんによるタッグでお送りします。
なお、匿名希望さんのご要望により、文章は私(こなき)が訪れた風に記載致しますので、ご了承ください。前置きが長くなりましたが、早速行きましょう!

 

東広島・呉道路 横路トンネル 横路地区現場見学会 参加の様子

横路トンネルは、現在建設工事が進められている「東広島・呉自動車道」のコース中では最も長いトンネルで、全長1,806メートルのトンネルです。今回の横路地区住民の方々を対象とした見学会は以下の日程で行われました。

2005年3月 5日() 14:00 - 16:00 南横路地区対象
6日() 10:00 - 12:00 西  〃
6日() 14:00 - 16:00 東  〃
13:43

今回私が参加したのは最終コースの東横路地区対象の見学会です。当日は天候も良く、ポカポカと暖かい日差しの中、集合場所である横路側坑口(防音ハウス入口)に向かう。
向こうに見えている大きな建物が、その防音ハウス。

足元の道路は橋のようになってて、工事用の仮設橋みたい。この時点で私の前後には多くの参加者の方々が登っているので、かなりな人数が参加しているのかな?って感じた。
防音ハウスそのものはいつも下界から眺めていたものの、いざ、この中に入ることができると思うと興奮を抑えられずにはいない。

13:51

いよいよ、防音ハウス内部に入る。内部には既に多くの参加者の方々が溢れていた。入ってスグのところで名前を記入する(画像左手前が記帳台)。記入しつつも、奥手に見えるトンネル開口部が気になる。
しかし、既に凄いスケール感に包まれてしまっているワタシ。
名前を書き終えると、工事現場のデフォルト!安全ヘルメット装着です。全員漏れなく、老若男女問わず安全ヘルメット装着。

13:57

程なく本日の見学会の説明が始まる。

この、赤いメガホン持った方、とても丁寧な解説でシロウトにも分かりやすくて良かった。2004年の3月6日より掘削開始したとのことだそうで、丁度1年での貫通だそうである。

この表の文字を書き起こしてみました。

@ 準備 トンネルを掘る前に、コンクリートを作る設備や濁水処理設備等の設置を行います。横路トンネルの場合、通常の設備に加え、防音ハウスの設置なども行います。
A 掘削 最初は機械掘削を行います。その後ドリルジャンボで岩に穴を開け、火薬を入れて爆破します。
B ずり出し 掘っていく時にでる土や岩(ずり)はホイールローダでダンプトラックに積み込みトンネルの外に出します。
C 吹付コンクリート(1回目)
  鋼製支保工建込
  吹付コンクリート(2回目)
せっかく掘った穴がくずれないようにコンクリートを吹付けて固め、鋼製の支保工(トンネル内部を支える鉄でできた枠)を組み立て、さらにコンクリートを吹き付けます。
D ロックボルト ロックボルトをトンネル内部から外部へ向けて埋込み、地山の強度を高め、地山と一体化します。

Aからここまでの工程を繰り返してトンネルを掘り進みます。

E防水シート張り トンネルの中の水もれを防ぐために防水シートを張ります。
F コンクリート覆工 永久構造物としての安全性を高めるため、コンクリートを巻き建てます。

ボクの仕事はこれでおしまい。ここからは専門業者にバトンタッチします。

舗装
設備工事
 
完成 いよいよ完成!横路トンネル開通です。
14:02

トンネル入口の脇には多量の岩石が積まれている。昼夜交代のぶっ通しで掘削してきたと言うから驚きである。
で、夜間はご近所迷惑になるとの配慮から岩石の搬出をしていないので、この場所に仮置きしているとのこと。

14:03

いよいよ突入!である。ぶ厚い扉(厚さ30センチ)の入口周囲は緑のランプでデコレーションされ、まるで未知との遭遇byスピルバーグである。
雰囲気、盛り上がって来ましたよ。

ギャラリーさん達は、特に順番とか整列とかも無く、なだれ込んでいくって感じ。

この画像でも判るように、とても小さなお子さんも居られて「あぁ、地域に関心を持つっていいことだなぁ〜」って思う。だって、広ではこの先、このようなイベントはもう無いですよ。(次の揚山トンネルでもあるかも…)

14:08

ほぼ最後尾を歩いていたので、関係者の方と並んで歩くことができた。
そこで、その方に色々と質問してみた。

  1. 坑道入口にあった扉はとてもぶ厚かったですけど、やはり防音用ですか?
    えぇ。あれは防音扉でして、発破による騒音を低減させるためのものです。扉と壁パネルの内部には水が充填してあるんですよ。
    やはり発破!か。ダイナマイト!サントリー(by サミー デイビス Jr.)
  2. 天井付近のダクトみたいなのは、空気を送ってんですか?
    えぇ。トンネル工事で多量の粉じんが出るので、汚れた空気を排出して、外のきれいな空気を送り込んでいますが、本日は停止してます。汚れた空気はトンネル内の集じん機でキレイにして放出しています。
  3. 今回(3回目の最終イベント)の参加者は多いですか?(感覚としては100人程度の参加者かと思う)
    過去2回分の参加もこのくらいの人数でした。
  4. ここのトンネル掘削現場は「掘りやすかった」ですか?
    ここは硬い岩の地層であり掘り易かったです。良く、硬いと言うと一般には硬くて掘りにくいでしょうって言われますが、実はその逆で、硬い方が掘りやすいんです。柔らかいと、固めたりする工事も発生するので、そちらの方が大変なんです。また、多量の出水とかも工期が遅れる原因になったりしますね。
  5. どのくらいのピッチで掘って行けるんですか?
    1日に片側 約4メートルで、両方から掘ったので1日に約8メートル掘ったという事です。
    意外と早いピッチと感じた。
  6. このトンネルは4車線なんですか?
    いえ、片側1車線の対面通行です。将来、交通量が増えたら、この隣にもう1本掘削する予定です。
  7. 掘り出した岩石は阿賀のマリノポリスの埋め立てに使われているんですよね?
    えぇ。当初は確かにそうでした。しかし、工期半ばよりマリノポリスが満杯になってしまったので、町田の採石場に持ち込んで使ってもらっています。
  8. 重機が沢山ありますね。
    えぇ。掘削技術が進歩してますから、工事は昼夜ニ交代制での突貫工事で、実際に工事に携わった方は、全部で35人ほどなんです。ですから、実作業は約半数の16〜17人ほどで、更に横路側からの掘削と、黒瀬側からの掘削で半々に分かれて掘ってきました(一箇所の掘削工事は7〜8人ってこと)。ちなみに、掘削機等の動力源は電力でして、1ヶ月の電気料金が500万円ほど掛かっています。
  9. 全線開通は平成20年代の前半ってことでしたよね。
    確かにその予定ですが、遅れ気味です。

14:09

脇に水が流れている。湧水が流れているそうで、ちょっと触ってみたが冷たくは無かった。また、打設されたコンクリートの成分が流出しているので、しばらくの間はアルカリが強くとても飲めるものではないが、1〜2年後にはキレイな水になるとのこと。

この水も「濁水処理設備」で濁度、PH等を調整した後で放流しているとのこと。

14:22

巨大なダクトを装着したゾウのような重機に遭遇。これが集じん機!坑内の粉じんを除去して、作業者の方々のために坑内環境を良くすると共に、きれいな空気を坑外に排出すると。

しかし坑内は暖かい。

寒いことを想定して厚着してきたから、じんわりと汗ばむ程である。
実際の掘削現場では、夏には重機の出す熱も相まって40度近い気温だと!!

この辺りより、コンクリート臭が強くなってきた。

14:23

巨大な重機が展示してある。ホイルローダって言うのかな?

私の背丈ほどもあるタイヤに、まるでスティービーワンダーの髪みたくチェーンが巻いてあるのは、鋭利な岩石でパンクするのを防ぐためだそうな。

14:26

いよいよ、昨日の貫通点へ到着である。ここまで坑口から1.1kmも歩いて来た。

先に来ている人たちが、一生懸命石を拾っている。
ここの石は貫通石って言って安産(貫通!)とか合格祈願(初志貫徹!)のお守りって言う意義があるとのこと。

受付の時にお守りにする小袋ももらったので、その中に小石を詰めてます。

コレがそのお守り袋。

東広島・呉道路 横路トンネル 貫通石

<安産の石の由来>

その昔、神功皇后ある戦の砌(みぎり)、此の地に於いて敵を攻めあぐみ、ふと間道に洞(ほこら)あり、三日三夜不眠の甲斐ありて洞を突貫(つらぬき)、敵の背より攻め大勝を得たという。その記念にと貫通点の石を持ち帰りて角鹿(つのが)の地に上陸、御自ら産気づき記念の石を枕辺にはべりたるところ、すこぶる安らかにて御子出産し給う。
 これより随道(ずいどう)貫通点の石を尊ぶ習いとなり安産の石と称し、珍重されております。
 ここに「横路トンネル」の貫通石として岩石一片「溶結凝灰石」をお贈り致します。
 貫通石背面には、「桃の花」をデザインしました。呉側坑口にあたる横路付近は、その昔「桃の木」が沢山植えられており、春には花見客で賑わったそうです。

清水・錢高特定建設工事共同企業体

ここで、関係者の方にちょっと意地悪な質問をしてみた。

昨日の貫通(発破)イベントって、本当は予め貫通させててそれを壊れやすく埋め戻して、やんわりと発破して貫通させちゃうような、芝居じみたもんだったんですか?

いえいえ、本当に貫通してなくて昨日の最終発破で貫通させたんですよ。最近は測量技術が進歩しているので、残りの岩盤の厚さが2メートルって分かっていたんです。だから、その部分を残してのイベント発破になった訳です。
ちなみに貫通後、両側からの測量精度は誤差2センチでした。

スゲエ!やはりここでも日本の技術は素晴らしいぞ!!

その測量に使われているレーザー測量装置は、今日もスキャンしまくっていた。約2秒間隔で、レーザー光がトンネルの輪郭に沿って動いている。(上部の赤い点)

14:27

足元には大きめの岩石が散乱している。黒いのは油かな?

汚れても良い靴で参加してくださいって案内だったから、もっとドロドロとした足元なのかと想像してたけど、全く違ってた。
所々、天井から水が滴り落ちている場所はあるものの、ほぼ全域で足元は乾いたままである。
また、「土砂」ではなく「岩石」である。

14:33
貫通点の前で、参加者揃っての記念撮影です。当然、私が「あちら側」に立つことはできないので、記念撮影している関係者の方を逆撮影。

後半へ続く