300キロブルベ – その3

その2からつづく。

ここまででおおよそ210kmの走行。時刻は17時20分。
雨は相変わらず降っており、徐々にではあるが雨足も強まりつつある。
長々と走ったダム湖岸を過ぎ、今回最高標高地点まで一気に400mを上げて行く。

登坂
登坂

と、この辺りから目の前の景色が変わってきた。

雪だ
雪だ

降り続いている雨が、白く濁ってきた。みぞれっぽい。
雪と言うには、べちゃべちゃした感じだ。

ループ橋
ループ橋

ここでもループ橋があった。短距離で標高を上げて行く。
と、気温は反比例して一気に下がってきた。みぞれは明らかに雪になってくる。

雪走行
雪走行

4月下旬での降雪ってどうなん?県北では良くあることなん??

油木峠
油木峠

油木の峠で雪が降る…ってか。余裕のない時につまらん駄洒落は辞めて欲しいものだ。
ちょっとした下り坂で、スピードが出て30キロほどになると顔に当たる雪がパシパシと痛い。

ここまでの走行では寒さは感じてなかったが、油木の峠を過ぎてからは寒くなってきた。次のCP4、上下のポプラまで約35km。up/downはそんなには無い。普通なら1.5時間ってところか。

雪景色
雪景色

雪は相変わらず降り続き、路面には積もらないものの、道路脇の草には積もり始めている。

18時すぎ
古めかしいトンネルを抜けつつ淡々と走る。

そろそろ夜だ
そろそろ夜だ

ダム湖で前に居たランドナの方は遥か先に行ってしまった。
日は暮れ辺りは暗くなってきた。ライトを点けよう。ここから先はデジカメ撮影は出来ない。

寒さが増してきた。次のCP迄まだ20km以上ある。
冷えるなぁ~…胸元と背中の腰の辺りが冷えているようだ。何とかCPまでの我慢だ。
雪はいつの間にか雨に変わってた…

19時15分
CP4-ポプラ「上下駅前店」到着。既に2名ほどの参加者が到着されていた。
もうかなりの方々が先に行かれてんだろうな…

なんて思っていると、急激に激しい寒さが襲ってきた。
寒い。寒い。寒い…。震えが止まらない。
持参してきてたホッカイロ登場。が、あんまり暖かく感じられない。

トイレを借りて、手を洗った後に乾燥させるハンドドライヤーで手を温めてみるが効果なし。
缶コーヒーを買って飲む。激しく手が震えてコーヒーがこぼれる。
飲み干しても効果なし。まだ寒い。

見るとレジ横でカップ麺を食べてる方が居る。あのランドナの方だ。
カップ麺かぁ~…
こなきは、今まで一度もコンビニでカップ麺に湯を注いで食べたことが無い。どうも、その食ってる姿に抵抗があった。

だがもうこの際、抵抗なんて言ってる場合では無い。カップ麺を購入しお湯を注いで待つ。多分、マジメに3分待てずに食べる。あっと言う間に完食。ちょっと待ってると、カラダの震えが収まってきた。

よしよし。
しかし、店の外に出るとやはり寒いぞ。

「先に行きます」って方が、ココでゴム手袋を買ったと教えてくれた。
台所で食器なんかを洗うときにママが使う、ピンク色で薄手で伸びの良いゴム手袋だ。

「効果ありますかね?」って聞いてみる。いま思えば、何て野暮な事を聞いてしまったんだろうか。後悔。
『どうだかワカンナイけれど、無いよりはマシかと…』ってお答え。

そうですよね。何とかしてこの寒さを克服しなきゃね。
実は、さっきカップ麺食べながら店内を見てて気になるモノを見つけていた。自転車用のビニールカッパだ。値段は500円。
勿論、スポーツ用ではなくママチャリ使用が想定された商品である。

「これを着れば風が通らないから、まだ少しは暖かいかも…」
いちるの望みで、ゴム手袋とビニールカッパを購入。

店の外に出て着る。ホッカイロはレーパンの中、腰の部分に入れる。
ピンクのビニール手袋をはめる。女性用だ小さい。手が湿っていることもあり、なかなかハマらないが無理やり指を通す。

カッパのズボンを履き、カッパの上着はモンベルレインの上に着る。その上から反射ベスト着用。

お!
着た瞬間から暖かいぞ。風が通らないと言うことは、それだけでかなり体感温度が違うもんなんだな!!

うん。これなら行けそうだ。
その場に居られた2名の方と共に、ゴールを目指して再スタートする。
前を行くのは、ランドナの方。後ろに、もうお一方居られる。

再スタートして間もなく下り坂に差し掛かった。ランドナの方は順調に走行しておられる。
ふと後ろを見ると、誰も居なくなってる。何かあったんだろうか…

気になってちょっと停車。来ない。
ちょっとだけ引き返してみる。居ない。大丈夫だろうか…
心配にはなるが、あんまり沢山引き返すとサイコンの区間距離が狂ってしまい、キューシートの方向指示が解らなくなってしまう。その場で、もうちょっと待ってみたが、やはり来ない。
仕方ない…後ろ髪は激しく引かれるが、先に行かせて頂こう。

ゴールに向けてのラスト50kmが始まった。

雨は弱まってるがまだ降り続いている。
だが、寒さは全く感じなくなっていた。

ビニール手袋、腰のホッカイロ、雨カッパ、さっき食べたカップ麺。
どれもそれなりに効果あったんだろう。まぁ、カッパの役割が大きいか…

寒くない。寒くない!と、言うか暖かい!!
これは行ける。これなら行ける!!
いい感じだ。もう怖いものは無いぞ。

順調にゴール地点を目指す。
ランドナの方はどっかで見失い、単独走が続いている。

世良界隈の山奥を走るルートが続く。民家も街灯もほとんど無く、真っ暗な道が多い。

ちょっとした登坂道では、道を横断している グレーチングでリアが滑る。危ない。
これが下りだと派手な転倒になっちまう。気をつけて走ろう。

前も後ろも全てのライトは既にフル点灯してる。
ヘルメットに付けたヘッドウォーズもいい仕事をしてくれている。アタマに付けることで、左右や後ろなど、向いた方向を照らしてくれるのはありがたい。特に上の方に付いている道路標識を明るく照らしてくれるのが何よりも良かった。
ただ、ヘッドウォーズの弱点を言えば、目のちょっと上にライトがあるので、雨に光が反射するんだ。雨そのものを照らしてて、視界に入ってくる。
クルマで雨の日にUPのライトにすると雨が反射して路面が見えにくくなるじゃない。
あの感じなんだわ。
大きな欠点ではないけれど、雨が視界を邪魔するってのが今回分かった。

その後、広域農道をかなり長い距離走り続けている。
信号の無い交差点をどっかで左折しなきゃならないんだが、見落としそうで怖い。

さっきのポプラで「世羅青少年旅行村と『停まれ』表示が目印」と教えてくれてた。
サイコンの区間距離をキューシートを何度も見比べながら、看板を見落とさないように用心して走る。

かなりの距離を走ったような気がする。
目的の看板らしきものが見えた。が、これが本当に目的のものかどうか自信が無い。
ただ区間距離で見ると、ここの地味な交差点を左折することに間違いは無さそうだ。

曲がってみる。

先に誰か止まってたので声を掛けてみる。
こんばんわぁ~
誰か:『この道で間違ってないですよね?』
えぇ、この道で正しいですよ。って、意味の無い自信なんですけどね
誰:「…」
でも、キューシートだと次の三叉路右折ポイントは、この先680mじゃないですか。行って、もし三叉路が無くても、引き返すロスは680mなんで行ってみましょうや。
誰:「それもそうですね。行ってみますか」

ってな会話で、二人連れで進んでみる。
あった、右折ポイントだ。間違ってない。

行きますよ~!
寒さを感じなくなってるので、いいピッチでの走行が継続できる。感謝。

が、後ろの誰かは寒いんだろう。ピッチが乗ってこない。気が付くとまたも単独走になっていた。ゴメンナサイ…

しばらく走る。
ふと気が付くと、いつの間にか雨は止んでいた。いいぞ。

小さな峠で左に止まってる方発見。「大丈夫ですか?」あ、ランドナの方だ 。
フロントライトの電池が切れたので交換してると。
お手伝いしますよ、ヘッドウォーズで照らして差し上げる。

「初めてのブルベなんで要領悪くて…」って言われてるけれど、あの快走と、この寒さに耐えてここまで走っておられるんですからとても凄いことですよ。

電池交換を終える頃、さっき千切れた方も追いついてきた。
3人で行きましょう。

が、またも気が付くと後方の方は遅れて千切れてる。余程に寒いんでしょうが、こればかりは手助けできない。
前を行くランドネの方と二人旅。

そして、見慣れた国道375に出た。
いよいよラストだ。二人旅を続けつつ走る。毎度のことながら、こーゆー場面での脳内BGMはえこにんの「月のしずく」。
(あ、ちなみに今日の道中での脳内BGMはPeter Paul and Mary, 500 Miles.)

ラストは平和に走って…

23時17分
福富道の駅にランドネの方と同時ゴール。

ゴール
ゴール

上の画像は、AJ広島のPHOTO庫より借用した、こなきゴール時の様子。

その後、いつものように封筒に自分の住所氏名を記入。

ゴール後
ゴール後

あ、ひらまつさんが帰ってきた。どこで油売ってたんだか…

長かった1日が終わってしまいました。
初めての300kメダルを手にする喜び。

300kメダル
300kメダル

 

 

スタッフの方、DNS、DNFの方、勿論完走された方、皆さんそれぞれにお疲れ様でした。

さて、次は5月11日BRM511広島400k蒜山
いよいよ本格的な山岳攻略。そして、ブルベ経験者でも「400kが一番キツイ」と言わしめる400k。
さてはて、どうなることやら。