11月28日(火) ヘリテージイベントに参加してきました。
って、平日じゃん!!
えぇ、有給休暇使いました。こんなとんでもなく忙しいイベントがある日に申し訳ない気持ち一杯で…
この日の仕事とこの日のヘリテージを天秤に掛けると、ヘリテージの方がどうしても重い。
職場の皆さん、ゴメンナサイ。
そんな忙しい日に仕事休んでまで参加しなきゃならないのか、呉ヘリテージ。
そう、今回のイベントは絶対に外せないイベント。
前回のフィールド調査は海軍関連施設巡りじゃったけれど、今回は呉市内の水道施設巡り。
本庄水源地、宮原浄水場、二河取水口、平原浄水場の4箇所を巡って水道局員の方に案内して頂ける、二度と無いチャンス。これは参加せねば!!
# 事前に呉ヘリテージの事務局の方から参考DVDを借用して予習してたv(^o^)v
前置きが長くなりました。当日の様子レポ行きましょう。
待ち合わせは10時に呉駅裏のレクレ。
ここからマイクロパスに乗って最初の見学地、焼山の本庄水源地に向かいます。
参加者は男性8名女性3名。このメンバーで巡る市内水道施設一周の旅。
初顔合わせの方も居られるので軽く自己紹介をば。そう、あいのり的な雰囲気です。
現地に到着早々、市職員の方に案内頂き場内を歩く。本庄水源地には石造りの巨大な堰堤があることで有名ですが、間近で見るのは初めて。
最初に目に入ったのは湖に浮かぶ島。
セメント造りの鳥居が見え、神社のようである。説明によると、ここの水源地が出来る前は、この島の部分は小さな山であり、その周囲に水を湛えたことにより島状態になったとのこと。へぇ~。
では石造りの堰堤に行ってみましょう。
堰堤上部から見渡す。同行した参加者の方ともこっそり話したんですが「想像してたよりも大きくないですねぇ~。」ってボソッ。
真ん中の建物の内部を拝見。手動式のバルブ開閉機(?)が5基並んでいる。当然、現役で使われている設備。
胴体部分には[KNWW 大正五年]と鋳られている。(KNWW = Kure Navy Water Works)
堰堤を横方向から見る。
この画が呉ヘリテージのTopにも使われている有名なアングルじゃね。カメラのファインダーに全体を収めるならここからの眺めが最善でしょう。
けれど圧巻は堰堤下からの眺め。
上で「思ってたよりも小さい」なんて言ったのは、大撤回!!長さ97m・高さ25mの巨大な石垣の迫力は下から見て初めて分かる!!圧巻です。大迫力!!
綺麗に組み上げられた石積みは往時の職人たちの技術レベルの高さ、また、設計の素晴らしさが感じ取れます。これだけの石を槌とノミで削りだし、こんなにも美しく積み上げるなんて…!!
堰堤中央下部の出水口の部分。
真ん中に「本庄貯水池 海軍中将伊地知季珍書」と書かれ、右手には着手 大正三年十月、左手には 竣功 大正五年八月と書いてある。パイプに耳を当てるとゴーゴーと水が流れる音と振動が伝わってくる。スゴイ…このパイプも当時のまま。
堰堤を離れ、水源地の横を流れる川の段々に来た。実はこの川は人工の川なんじゃと。水源地が出来るまでは、堰堤の位置が川だったんだけれど、貯水するために川をわざわざ横っちょにこしらえたんだって。へぇ~。
文化財としての詳しくはコチラ → 国指定重要文化財 本庄水源地堰堤
本庄水源地の見学を終え、お弁当を頂いた後に次の目的地、宮原浄水場に向かいます。
ココでのお目当てはコチラ → 呉市水道局宮原浄水場低区配水池
一行が到着して先ず驚いたのは、宮原浄水場からの眺望。呉湾を一望できる素晴らしい眺め。海軍鎮守府の向こうにIHIの造船ドックが見え、呉湾、江田島まで見渡せるとても良い場所。
ゆめタウンも、練兵も、美術館も、中通の方もよーく見える。絶景ですよ。この景色こそヘリテージじゃわ!!
子規句碑のところが歴史の見える丘って名前が付いてるけれど、ココも負けず劣らず歴史の見える丘じゃないですか。この眺めを一般公開しないのはとっても勿体無いよ。
ここではヘリテージ建物を見る前に、浄水場としての水の精製プロセスを説明して頂いた。この画は急速ろ過の工程。
このろ過装置の横に大きなプールみたいなのが見え、その向こう側にヘリテージの低区配水池の建物が見えている。低区配水池そのものがヘリテージターゲットなんじゃけれど、手前のこのプールみたいなのも、とってもヘリテージよ。
このプールみたいなのは緩速ろ過池って言うんだけれど、囲いの部分が石造り。しかもコーナーは美しくラウンドしてる。
池と池の隣接部分なんて、ホラ、このRの出し方がとても美しい。機能性だけを言うなら、この部分にこんなにも手間を掛ける必要は全く無いのに、ここまでデザインに拘った昔の人々。素敵ですな。
で、こちらが本来の目的ヘリテージである低区配水池の建物。平べったい体育館のような建物。壁面は煉瓦積みで屋根はトタン張り。内部は精製後の水道水が満ちているプールのようになってるらしいが、見学不可。だって、この建物の中の水は、もうすぐに飲める状態の、言わば出荷待ち状態の水道水。何気ない輩が入って異物混入とかしちゃマズいからでしょうね。
入り口部分のアップ。大きく半円を描いた石のデザインもオシャレ。
この後も浄水工程を見学させて頂き、宮原浄水場を後にする。
次にあいのりメンバーが向かったのは秋深まる二河峡。
ここでのお目当ては、コチラ → 呉市水道局二河水源地取入口
二河川の水をここから取り入れ、宮原浄水場まで送水しているとのこと。
上部に呉鎮守府水道と刻まれている。
ココの水は現在は工業用水って言ってたかな。反対側の様子と詳細は、コチラで見ることが出来るよ。
この水道トンネルの長さは長くなく10メートル程かな。そんなには長い距離じゃないし、ここまで飾らなくても機能としては十分なんだけれど、わざわざアーチ型にすることろが粋。
取水口から歩いて下る道。この足もとの石畳の下を水が流れているのね。
二河峡を後にした、あいのりメンバーが次に向かった先は、平原。
ここでのお目当ては、コチラ → 呉市水道局平原浄水場低区配水池
西畑から灰ヶ峰に登る途中、平原神社を過ぎた辺りでこんな施設が見えてるでしょ。これがヘリテージな低区配水池。
特徴的な外観の排気塔。
この排気塔の下部に見えている扉から内部に入らせて貰う。
宮原の配水池は立入りできなかったけれど、こちらは見学を許可頂けたようである。
扉を入った瞬間に分かる、所謂カルキ臭。この建物内で喋ると声がとても良く反響する。
その扉の幅と同じだけの幅しかない、細長い通路がずーっと奥まで続いているが…
通路の左右には、暗闇の中に満々と水を湛えた巨大なプールが連なっている!!
一同、凄い、凄いの連発!各自カメラでの連続撮影に余念がない。
天井はアーチ型に組み上げられた煉瓦造り。幅10m奥行き30m程か?一番奥には空気抜きの丸窓がまるで満月のように浮かび上がっている。
この画は明るさ調整を行って、かなり明るめに補正しているけれど、実際は真っ暗なんよ。
天井のアーチを成している煉瓦積みの荷重が掛かる部分は石ブロックが使われている。
そして湛えられている水は青緑色に…。水深は3メートルほどかな。奥側が浅く、手前(中央通路)に向けて深くなっている。
水中にも美しく組まれた煉瓦アーチ。このアーチの部分でプール同士が連結されている。
と、ここまでデジカメで撮影して来てメモリー満杯になってしまった。敢え無く終了。
この後も、平原浄水場を見学させて貰ったが、平原を案内してくれた職員の方は古い水道施設の資料集めや研究にとても熱心な方であり、自らの範疇で作られたと言う自作の資料を見せて頂いたけれど、とても丁寧に調べ上げた貴重な資料でした。内部の方じゃないと見つけることの出来ない図面や、普通は撮影できない場所の画像などなど。
今後も資料整理、益々の内容充実を期待しております。
さて、あいのり一行は本日予定されていた見学を全て終え、呉駅裏に戻ってきました。
いゃ~。こんなに中味の濃いツアーになるとは思っても見なかったので、とても良い1日でした。
くれシェンドの方々とても貴重な体験をさせて頂きありがとうございました。
案内頂いた市水道局の担当者の方々、またマイクロバスの運転手さんもお疲れさまでした。
1日同行した、あいのりメンバーの方々とも貴重な体験を共有できてとても良かったですね。
メンバーの方々とは早くも次のヘリテージ発掘ツアーの話で盛り上がりつつあります。
その節にはまた参加しますよ(会社休めるかな…)。
仕事で呉へ行くので参考までにサイトに訪れました。
きれいな写真と本文を、堪能させていただけました。
ところで緩速ろ過池の角が丸いのは単なるデザイン
のためだけでなく、「水がよどみにくい」という効果が
あるようです(下記は専門家からのコメントでした)。
それにしても素晴らしい機能美です。昔の人は凄い!
竹内 (長野県上田市在住)
>そうです。この浄水場です。
>花崗岩のブロックで造られ、角が丸くなっていて死に水が生じにくい。
❗
竹内 準一 さま
コメント頂き、ありがとうございます。
が、しかし…
残念ながら石造りの「緩速ろ過池」はつい先日、取り壊されてしまいました。
何故に壊す必要があったのかは分かりませんが、非常に残念な限りです。
ただ、言える事は「昔の人は凄い」ってことだけですね。
貴重な写真をお送り頂き有難うございました、私は生まれも育ちま宮原ですが
浄水場には、入る事が出来ないので、この度の資料を大変興味深く見せて頂きました。
他の浄水場も海軍の遺産が、いまだ現役で活躍していることに、驚きました。
私の仲間が、浄水場から発生する浄水汚泥の有効利用について研究しています
白鷹 常和 さま
お役に立てたようで光栄です。
ただ、古い施設は順次更新されているようで、文化財指定になってないものはどんどん壊されています。悲しきかな…
浄水汚泥の活用、大切なテーマですね。これからますます研究して頂きたいテーマです。
ありがとうございました。
以前、コメントした竹内です。いま、呉高専で教員しています。忙しくてご挨拶できませんでしたが、こなきさんが広にいるらしいことを知りました(広の写真集を新聞で見て、入手して・・)。
いま、土木学会中国支部で土木遺産の見学ツアーを企画しています。チラシを作りたいので・・
>カメラのファインダーに全体を収めるならここからの眺めが最善でしょう。
上の画像ファイル(ウェブサイトより少し高画質のもの)を譲っていただけないでしょうか?
竹内準一 さま
ここでのお返事、遅くなってしまいました。
先日お送りしました画像で良かったでしょうかね。
ヘリテージツアーはとっても面白かったです。あれから随分と時間が経ちましたが、あの時の興奮は忘れてません。
呉の定例ガイドコースにして欲しいくらいです。浄水場の建物の中は流石に無理でしょうけれど。
お役に立ててよかったです。