…前編よりつづく
ここまで順調にやって来た。驕った(おごった)言い方をすれば、想定通り。
しかしこの先、その驕りが自分の実力ではないことを思い知る。
米子から境港方面に向かう、ひたすら真っ直ぐな道。

産業道路と言うらしいが、弓ヶ浜の日本海側をひた走る片側2車線のとてもいい道だ。

しかし行けども行けども、この直線道が終わらない。20キロほどあるらしい。
しかも、交差点の信号にほぼ毎度引っ掛かる。行っては停まり行っては停まりを果てしなく繰り返す。長い!!

いや、ゆっくり走ろうと云われても、もちょっとペース上げさせてください。
16時30分 ようやく境港に近付いた。

この安堵がミスリードに繋がったのか…
キューシートの36番『S「昭和町」 ╋字路 直進 市道』。
SはSinnal、信号の略。「昭和町」は交差点の名称なんだが、ここを間違って左折してしまう。
んで、290m行くと水木しげるロードに出ると読み違え実際は…

どう見てもコースではない、路地裏の道に迷い込んだ。
流石に怪しい。どう考えてもコースアウトしている。
はっはーん、キューシートの記載ミスってるな。
などと、この愚か者は他人様のせいにする訳ですな。で、迷走に次ぐ迷走で、私は誰、此処は何処状態に陥ったので、スマホのナビ機能に助けてもらって、ようやく辿り着いた。

おー!
かわいぃ♪♪♪
で、実際のところの大きさと言えば…

身長20センチほどかと。鬼太郎アニメに出てくるメインキャラの銅像は大きく造ってあるが、こなき爺ほどの脇キャラは、この程度の大きさで造られている。チッ…
まぁいいや。悲願のツーショットだ。

良く見るとゲゲゲジャージのこなき爺も写っているトリプルショットだwww
こんなバカな真似を独りでやっていると、観光客がワシの背中を撮っているのが分かる。そんなに珍しいか!
キューシートに頼らない方法で水木しげるロードに来てしまったので、次のポイントまでの距離が分からない。
前のポイントまで戻る。キューシート36番まで戻って、再度、正しいルートで水木しげるロードに向かう。

へぇ~、商店街なんだ。
って思ってると、今度は水木しげるロードから出る道が分からなくなってしまった。何だかバスロータリーのような所に来てしまう。どー見てもキューシートとは違うゾ。
わからん、わからん(ー_ー)!!
ファミマの看板が見えたので、慌てて行ってみると別の店舗だったり…orz
えーい、またまたスマホのナビ機能を活用だ。
PC3のファミリーマート境港外江町店を案内してもらう。あぁ、情け無い。
で、キューシートの弱点を感じた。
順調に行っている時は良いけれど、1ヶ所でもミスしてしまうと、完璧にコースアウトしてしまう。
夏の甲子園の優勝校みたいなもんだ。1回でも負けると優勝は無い。キューシートでブルベを完走しようとすると、1回でもミスリード出来ない訳だ。だから、みんなガーミンとか使うのやね。納得。
GPSロガーの軌跡で、境港界隈の迷走の様子を見てみた。
何じゃこりゃ!!

この界隈だけで1時間20分も掛かってる。ダメだ…焦る。舞い上がりまくり!!
スマホのナビ機能ってネ申アプリだわ。

ここに着いたのが18時17分。
キューシートの予定時間レンジには、11:49-19:12と書いてあるので、大幅に遅れていることは間違いない。
おむすびを買ってレシートを入手し、そそくさと再スタート。
中海に渡る、江島大橋の坂道を登る。

っと、また焦ってシフトミス。フロントがイン側に落ちる。

指を黒くしながら復旧。
ここの橋はジェットコースター並みに、激しく登っては激しく下る。

渡りきったところが、あのコンビニ。

出雲路センチュリーライドのエイドステーションとなっているファミマだ。
何年か前は、ここで雨のなか震えたよね。
江島から島根半島方面に走る。

そろそろ夜だ。暗くなってきた。
ライト2つ点灯し、キューシートは小さい方のライトを手にとって照らして見て走る状態が始まった。
松江に向いて走っていると、1台のクルマが斜め前方で急停車するがな。
aveさんだ!
追っかけて来てくれたんだ、ありがとう。
「補給食、何がいいですか。水もありますよ」と、あれこれ差し入れてくれた。感謝感謝。
ボトルに水を入れ、折角なので魚肉ソーセージを頂いた。この魚肉ソーセージがこの後、とても大切な役割を果たしてくれるんだ!!aveさん、本当にありがとう。
引き続き松江方面に向いて走り、松江市内を抜ける。

簡単な市内観光みたいなもんだ。カラコロ工房の前を通過だ。
松江城を過ぎた辺りで、こちらを照らす人あり。
島根の自転車乗り、にゃごさんだ。少し飲んでるな…(笑
行きつけのお店、スリランカカレーショップ印度亜さんの前で待っててくれた。あれこれ話しまして、「くるぱんさんにお土産」と言ってここのお店の「スリランカのカリーパウダースパイスセット」を頂いた。ありがとうごさいます。
も少し早くに到着できていれば、カレーを食したかったのですが、もう随分と遅れてしまったので先を急がせて頂きました。そして、あっと言う間に松江を別れる。
宍道湖沿いを走り、タクワサイクルさんの前を過ぎる。境港であれほど迷走しなければ、営業時間内に訪れてご挨拶したかったのに、もう間に合いませんでした。出雲路センチュリーライドのスタート地点、イングリッシュガーデンの前も通過する。
21時13分 PC4 ローソン平田中ノ島店到着。キューシートによると、ここまで242キロだ。 単三乾電池と、アイスとコーラを買い、現在地をツイート。
夜と雨の準備をここでしとく。濡れてマズいものはジップロックに入れ、そろそろ痛み始める膝に備えてバンテリンテープを両膝下に貼る。
そして、この時点でこなきは気が付いていなかったが、劇的な出会いをしていた。
22時20分 順当にコースを進み、出雲大社まえ到着。

もう真っ暗で、何も見えない。
そしてまた、ここでも迷走。キューシートの56、57、58番辺りがどうしても分からない。大社前を真っ直ぐ抜けて、日本海にぶち当たるらしいが、海に出れない。
焦る。GPSのログを後で見てみると、同じところを2往復してたりする。
あちゃー。
道に迷っていると、後方のクルマの中から呼ぶ声がする。
「こなきさんですよね?」
えぇ。
失礼ながら、お顔が拝見できないのでライトで照らさせて頂く。はて、見覚えのない方だ。
「中ノ島のローソンでお見かけしまして、スマホで何かやってたからググッてみたところ、俺ちゃれやってられたので、声掛けさせて頂きました」
まぁ!!
あの時の様子から、そこまで推測して辿り付けるとは!!すげ!!!
道に迷っている状況を伝えると
「前を牽きますので、着いて来て下さい」と。

(この写真が最後の自己撮影、22時47分)
ありがたやありがたや。 聞くとこの方、地元・出雲の自転車乗りだと。 有難いねぇ~。同じ自転車が趣味と言うだけで、こうやって面倒見てくれるとは。
国道9号線のところまで案内して頂き、しばし会話。助手席には奥さんが、後部座席にはお子さんも乗っておられたと。 ここでお別れ。ありがとうございました。助かりました。
9号線を走り神西湖の脇を抜け、県道39に乗った辺りから雨がぽつり降り始めた。
国道184号に乗る。街灯ひとつない、真っ暗な山の中の道が続く。雨足も強まってきて、いよいよ本当のチャレンジが始まった。
寒くはないが、闇と雨の波状攻撃はなかなかに気分を消沈させてくれる。民家もとても少ない。クルマすら1台も走ってない。
ぼちぼち走っていると、後方からクルマのヘッドライトが近付いてくるのが分かった。
近付いてきたクルマから、声がする。
「こなきさん、この先ずーっと真っ暗だから、後ろから照らしてあげますよ」
さっき別れた、出雲の自転車乗りの方が帰ってきてくれたんだ。
一度は家まで帰ったけれど、奥さんと「あの道、真っ暗で雨降ってる状況で走るなんて…」みたいな会話があったらしく、ここまで来てくれたと!
本当ですか!とってもとってもとっても感謝です。
緩やかに登るR184を進む。後ろからクルマで追われるとなると、やはり少し無理してピッチ上げてしまうが、今の状況ではそれさえも有難い。
どこまでこの方の支援を受けただろうか。国道54号に合流する直前辺りまで来てくれてた。R184はかなり長い区間でしたが本当にありがとうごさいます。 感謝以外の何物もありません。
本当に最後の別れを告げ、ひとりR54に乗った。
雨足は更に強くなり、気温表示は17度と出ているものの体感温度は一ケタ台の気がする。
寒い
R54の赤名峠に向かう登坂、坂のキツさよりも寒さがピークとなっている。
自販機で缶コーヒを買い、囲いのあるバス停で補給食に持ってきている羊羹を1つ食べ、じっと休憩。
時計は持ってきていない。スマホはズブ濡れの手で触るとお陀仏になりそうなので触らない。何時なのかも分からない。
いまココなうも、既にバッテリー切れで停まっているだろうが、それを介抱する余裕もない。
5分くらい居ただろうか。寒さが和らいだので、再スタートを切る。
暫く走った。 赤名の峠が間もなくであろう辺り、いよいよ坂もキツくなり始めた辺りで、今度は
眠い
眠さが限界に来ている。ここまで一睡もしてない。
どこか雨宿りできる場所を探し、農家の納屋みたいなところに入らせて頂く。乾いた地面。それだけで十分にありがたい。
自転車を転がし、体操座りのように膝を抱えて座り目を閉じる。
すぐに意識は遠のく。
はて、どの位寝ただろうか。感覚的には20分ほどだと思うが、5分かも知れないし1時間だったのかも知れない。
少しの仮眠で楽になったので、赤名のトンネルを目指す。
赤名のイメージは、大型トラックがバンバン走ってるイメージだったが、実際はクルマはまばら。
狭いトンネルの中でクルマに追い越されることも無く、無事トンネルを抜けた。
トンネルを抜けると、今度は激しい下り坂だ。雨も良く降っている。ブレーキは掛けっぱなし。
もしここでヘマると大転倒やな。
もしここでパンクすると泣くな。
などと思いつつも、結果的には布野あたりまで無事下ることが出来た。
もうキューシートを見る余裕がない。眠さは去ったが寒さは継続中。寒い寒い寒い。
一刻も早く風呂に入りたい。
BRMのコースを脱落するのは分かっていたが、もうR54を道なりに進み三次に入る。知っている道だけで帰路につくことにした。
夜はどの辺りで明けたんだろうか。
道の駅、みわ375の手前で再び寒さが限界となったので、空き家の車庫に入り込む。
寒いぞ。寒い。もう限界だ。
夕方のウチにサカイさんから「万一レスキューが必要な時は連絡ください。タクミさんも私もいつでも出撃可能です」とのメールを思い出した。
申し訳ないが、レスキューを頼もう。
と、スマホを取り出したが、バッテリーはあるものの動かない。マズい。バッグに入れてたが夜通しの雨で濡れたか。
手も服も何もかもずぶ濡れなので、拭くことも出来ない。
あぁ…レスキューも呼べない。
もう、何が何でも自走で帰るしかないな。持参の羊羹とaveさんから頂いた魚肉ソーセージを食して暫く休憩。
寒さが収まり、元気も取り戻したので再スタート。みわ375の前に公衆電話があったので、くるぱんに電話する。この時点で7時16分だった。スマホが使えない、何とか走って帰宅する旨を告げる。
人間って不思議なものだ。
退路があると思えば弱気になるが、退路が無いと思えばカラ元気でも湧いてくる。
その後も幾つかの緩やかな登坂があったが、順調に、いや快調に走り、東広島を抜ける。もう、福富のスタート地点には戻る意味が無いのでパスすることにした。
郷原でU☆1さんのクルマが対向からやって来るのが見えた。助手席にはサカイさんがカメラを手にこちらを見ている。

来てくれたんやね。ありがとう。あと少し頑張るよ。

うはー、情けないフォームだわ。腕が伸びきって体重をハンドルで支えているのが分かる。

石内の下りもパスし…

家に着いたのが9時8分。
自宅前には、オトコが3人待ってた。U☆1さん、サカイさん、しんちさん。ありがとう。まぁ、上がってコーヒーでも飲んでってよ。と、コーヒー淹れてから風呂に入る。うひゃ~。終わった終わった。
帰宅後のサイコンの値は
走行時間=1:45’01(多分21:45’01のこと)
距離=460.80km
平均速度=21.1km/h
自宅から福富までのサイコンが、43.3キロ、2時間3分、あべ21.0km/hだったから、合計すると
504.1kmを走ったことになる。
長くなったので、自身の感想を含めたこの話の続きは次回に続きます。
よくぞ、ご無事で。
しかし、500ですか(想像を絶してます)お疲れさまでした。
yoshi さん
ありがとうございます。
そうですね、極限になると「何かに護られている」とか思ったりします。
でも、yoshiさんも500イケるでしょ?
境港市の迷走は、こうして読むとわらけますが、焦ったでしょうねw
しかし、グッときました。素晴らしい。青春だ。
タクミ さん
えぇ、あの時はガーミン欲しいと思いました。
脳内年齢は中二ぐらいかと。
まさしく極限ですね。
そんなときに根性出せることが、すばらしいことだと思います。
魚肉ソーもお役に立ってよかった![]()
こなき爺とトリプルショットを撮影中のサイクリスト・・・・
そんなに珍しいか!
はい、非常に珍しいかと・・・・
しかし、きついを通り越して命の危険が・・・
とにかく無事で何よりです。
最終的には、あまりかっこ良くないっておっしゃってましたが、
メチャンコかっこいいじゃないですか
感動しまひたっ(>_<)
あらゆるピンチが目の前に立ちはだかっても、諦めずゴールに向かって走られたこなきさんかっちょよすぎです!!
自転車仲間さんたちのサポートもすばらしいですね(涙)
くるぱんさんや子供さんたちは心配されたと思いますが、こんなステキな旦那様、お父さん、とっても羨ましいです!!
これからも応援してます☆
途中で実況?が無くなったので気になっていましたが、何はともあれ無事に何よりでした。
感激しました。
赤名を過ぎた後の場面は、
ホントに感激です。
なんで僕がその場に行って、
ウインドブレーカー渡せんかったんかって思いました。
そいでもこなきさん、
なんぼ疲れとっても、
体幹でこいでるフォーム、ええじゃないですか!!
レポ、お疲れ様でした。
私は、一般人とかけ離れたサイクリストを、
「ヘンタイ」「宇宙人」と敬意を込めて呼んでるのですが、追加の必要がありますね。
そう、「妖怪」です(笑)
なにはともあれご無事でなによりでした。
来年はSRだ!!!
お疲れさまでした。
しかし過酷なライドだったんですね・・・雨がなければまた違ったんでしょうけど。
サバイバルシートがあった方がいいかもですね。
雨と寒さ…先月の岩国を彷彿せずにはいられない…
ともあれ、ご無事でなによりッス!きっとワシならお尻の痛みでこなき爺と共に泣いております。
☆ ave さん
いやぁ本当に魚肉ソーセージには助けられました。ありがとうございました。
今回は、食べるって大切だなぁと痛感しました。
☆ あがもん さん
真っ暗な雨の中「パンクだけは勘弁!」ってずっと思ってました。
結果的には、ノートラブルで良かったです。
また、あがもんさんとライド行きたいです。やっぱりお昼がいいや♪
☆ さち さん
ありがとうございますっ!自転車ってやっぱりいいもんです。
さちさんも、さちさんのペースでライド愉しんでくださいね。
☆ 小林 さん
そうなんですよ。多分、いまココが出なくて、心配してる人多いだろーな。って気になってましたが、あの豪雨の中ではどうすることも出来なかったです。
☆ m@s さん
ありがとうございます。そのお気持ちが嬉しいです。
鳥取、島根、広島の県北。自転車で走って気持ちのいいところが沢山ありますね。
ライド、ご一緒したいです。
☆ サカイ さん
ウィっす。これで名実共に妖怪でしょうか(笑
SRやメダルに拘りはありませんが、中国地方のブルベで獲得標高をもっと下げて欲しいのですが…
☆ りゅうじ さん
参りました。雨。
ゴアテックスのレインとかが最善なんでしょうが、かさ張るしねぇ。
りゅうじさんもチャレンジ頑張ってください。
☆ ひらりん さん
岩国もキツかったね。
今回は意識してダンシングを多めに入れまして、膝やケツに変化を持たせるように心がけてました。
松江で用事があったので 遭遇出来るかと思って 出雲から乾電池もって走りましたが
境港でそんな事件が有ったとは
帰りに雨が降りだしたときに やっぱり自動車で行けば良かったとちょっと後悔してますが
冒険旅行ですね 憧れてしまいます
お疲れ様でした
ぶんさん♪
追っかけられてたんですね。しかも電池フォローとは実に的確な!!
ありがとうございます。
境港の迷走がなければ、お会い出来ていただろうに…悔やまれます。
石見、お会いしましょうヽ(^o^)丿
うちの近所を走ってたとは知りませんでした(滝汗)
しっかし500kmとは凄いですね!
石見の方も頑張ってください
charibaka さん
ご近所を通ってたんですかッ!!
(休憩させて貰えば良かった…ウソ.)
石見、三瓶目指して頑張ってきます!!!!