お母さん…あれから何年経ったのでしょう…
僕はあの日のことを忘れたことはありません…
… だって…YouTubeにUPされてるんだもの!
そう。あれは2018年秋の開催だった。広島県を一歩も出ずに600キロを走るブルべってのをコンセプトにルート設計したAroundHiroshima600。思い出深いルート開催の中のひとつだ。
その後コロナが流行り、県を跨いでの移動が制限されていた時期に
「いまこそAroundHiroshimaを開催する時期だ!」
なんて、勝手に思ってたりしたものです。
そして月日は流れ、早7年。
2025年の5月に再び伝説のBRMが開催されることになった。
前回は三原の須波海浜公園が発着だったが、今回は呉発着での開催。
前回は10月下旬の開催だったが、今回は5月の開催。
前回は自分がコース開催担当だったが、今回はAJ広島代表氏による開催。
そう!今回は何もかも自分にとっては有利な条件が揃っている。
しかし今は呉を離れている身。
そしてあの頃のように”走りまくって”ないので、走力もそれなりに弱っている。
どうなる、AroundHiroshima600!
ルートの細かい部分は精査してないが、ほぼ7年前と同じルートと思われる。
この日のためにGWに輪行でエスワを持ち帰り、オカムラさん所でブリーディングしてもらった。
(実は、ブレーキのメンテ失敗してちょっと手が出せない状況に陥ってたのよね…)

BRM510当日
未明まで降っていた雨も上がり、雲は厚いもののこの後は降らないであろう予報の土曜朝。
スタート地点はいつもの呉・大和波止場。知った顔多数。エントリーは38名、出走25名と、多くもなく少なくもないちょうどいい感じではなかろうか。

6時スタート。向かうは広島市内方面。
ホームグラウンドであるコース。ましてや、7年前にスタッフ試走とは言えソロ完走している道だ。ルート面での不安はない。

広島市内中心部に差し掛かる。
いま広島で最もHOTな話題である、広島駅の2階に路面電車が登って行くと言う現場がこちらだ。
3ヶ月後にはここを路面が往来していると思えば、県民としてはやはりソワソワするじゃないか。

ほどなく原爆ドーム前のフォトチェックポイントに到着。ここまでの距離は30キロ、今の時刻は7時半だ。

ランドヌ達も次々と到着し、チェック画像撮影に余念がない。

再出発した次の川あたりでSUPやってるのを見かけた。
ここらでもやってんっすね!知らなかったですわ。

その後、商工センターを通り抜け、宮島が見える場所に来た。公園があったのでトイレ休憩。

この直後は、県内サイクリストに極めて評判の悪い”阿品の歩道橋”を渡り大竹方面へと。
そして見えてきた”ドライブインみずなか”。

過去のブルベで、色々あってここで午前3時に奥さんと一緒にメシ喰ったよな…
あの時は大変だったが、今となってはいい思い出だ。
そんなこんなでうる覚えのルートをガーミン先生にご指導戴きながら最初のPC、大竹のセブンイレブンに到着した。ここまで65キロ。今の時刻は9時半だ。貯金は50分。市街地の信号の多さを考えれば、まぁ妥当かなと。

ここのPCでご一緒させて戴いた方がいた。
恰幅の良いその男性は自分より年上。2023年のPBPジャージを着用されてて高そうなイタリアンバイクを駆っている。ジャージカッコイイですね!って声を掛けさせて頂いて、少しお話しさせて頂いた。只者ではない雰囲気の彼とこの後、あんなことになろうとは….

ルートは瀬戸内沿岸を離れ、山方面へと向きを変える。
いい感じじゃないか。

標高を上げ、ダム沿いの道を登って行く。


ようやく登った先にあるのは弥栄ダム。
カード収集はやってないので事務所には寄りません。

ほどなく謎なオブジェが…

相撲?
1/1サイズの??
なんだろ。土地所有者が熱烈な相撲好きなんかな。
かつて、熱烈なファンが田んぼのあぜ道にB’zかかしを設置していた事例もありますしね。
そしてそれをフォトチェックポイントに起用したりしましたな…
中国山地方面…と、言うか山に向かってどんどん標高を上げて行ってます。



ダイヤモンドHOTEL?
たぶんもう使われてないんだろうな…
そんなこんなでマイペースで登坂しておりますと、真っ赤なロードスターが追い抜いて行き目の前で停車。
むむ、何奴..
助手席から手を振るのはどこかで見覚えのある顔…兄貴!
マグナム兄貴!!
どしたんっすか!え、応援!?マジで!!
ありがてぇ!!!
久しぶりに会うのでしばし近況報告などして別れた。
嬉しいねぇ~…
コマ#47、93.8キロの三差路に来た。時刻は11時20分。

常々、100キロ=6時間をモットーにしている自分なので、広島市内の信号峠や、ここまでの登坂を考えるとまぁまぁのペースではなかろうか。
そんなこんでチンタラ登っておりますと、後方から楽しそうな話し声が近付いてきます。

そしてその声の主達はあっという間に(楽々と)自分を抜いて行きましたw
なんでもブリジャージの彼(すぎちゃんと言います)のリアホイールが”振れてる”のに相方(さぶさんと言います)が気付き、大竹のサイクルショップウエキさんの所でパッと買える鉄下駄ホイールを購入したと。さぶさんもホイール交換に付き合ってたとは…余裕あるっていいな…
ブルべ中にホイールを交換すると言う徳を積んだ彼らはあっという間に見えなくなりました。
知り合いがここで蕎麦を打っていると聞いている蕎麦屋前を通過。また時間ある時に寄らせてもらいますわ。

その後も景色の良い道をボチボチ走っております。

天気最高っすね!

13時48分。PC2戸河内のセブンイレブンに到着です。
ここまで137キロ。クローズが15時08分なので貯金1時間20分と、まぁいい感じかな。
なのに、たぶん自分はケツから3番目くらいだと思われる。みんな早いなぁ…

ここでもマグナム兄貴ほか、旧知の自転車界隈友達が待ち構えてくれてて、わちゃわちゃ話が尽きません。ありがとうございます。ですが、わちゃわちゃもキリが無いので次行きますよ。
リスタートしてスグ。ローソンポプラがある。
7年前はここがPCだったよな…

YouTube動画の17:11からのシーンが思い返される。
そしてこの頃からだっただろうか…

風が強くなってきた。
海沿い道で風が強いってのはよくあることだが、こんな山の中でも風が強いってあるんだな。
それが、ずーっと向かうとかずーっと追うってのでもなく、前からだったり後ろからだったり、右だったり左だったり…コロコロと風向きが変わる。なんやねんこの風は!

以前どっかのBRMで通過チェックにした深命水。

深命水を過ぎた直後、歩道で大の字になって休憩しているランドヌールを発見!そっと通過しておきました。

が、次の峠を越える辺りであっさりと抜き返されてしまい、

いやぁ~、腰が痛いんで休憩してました♪
だって。

その後もマイペースでオンルートを単独で走っておりますが、脳内ではDNFの文字が激しくリピートしております。

風がしんどいのもあるし、やはり今日も右膝が痛い。バンテリンを塗って誤魔化しながらここまで来たが、このまま三次以降の後半戦を戦えるとは思えない。そして、後半には”あの山々”(下図)が待っていると言うことが分かっている。そのツラさを知ってしまっているのも気が重い原因ではある。

どうする自分、どうする自分…

160キロ過ぎた辺りで見慣れたクルマが路肩に停まっていた。
AJ広島代表氏だ。
相変わらず律儀な男だ。コース担当だからと言って、巡回を行う義務なんて無いのに…
膝の具合も良くないし、気分も↓↓↓なので次の通過チェック2 静間商店まで行ったらDNFしようと思う旨を伝えて別れる。
牛も言ってた。”すべては自分で決めるんだモォ~”って。

17時20分。通過チェック2の静間商店に来た。181キロ。
商品陳列棚は空っぽのようだ。もうお店を畳まれちゃったんだろうな…

コース開催担当の代表氏に電話を掛ける。DNFだDNF。
電話を掛け終えた直後、後方からひとりのランドヌールがやってきた。
最初のPCでお声掛けさせて頂いたイタリアンバイクを駆る彼である。
自分を発見するやいなや、
“あぁ~!やっと人に逢えた。ずっと一人だったんですよ。ここからご一緒しましょう。”
と言って頂けたのだが、残念なことにたった今、自分はDNFの電話をした所なのですよ。
と、いま思えば崖から突き落とすようなセリフを吐いてしまった。
彼は落胆しつつも、ゆっくりとした足どりでルートに戻って行った…
で、こんな山の中で俺のAroundHiroshima ’25は終わったが、次の戦いが始まった。
撤退戦だ。
300キロ地点、三次市街地で今夜のホテルは予約している。何としてもそこまでは行かねばならない。
オンルートで走れば120キロほどだが、もうDNFしているのでショートカットしても構わない。だが、ショートカットしたところで三次まではまだまだ遠い。
ショートカットとは言え、しばらくはオンルートで走るのが最短ルートみたいだ。
走り始めると、ほどなく前を行く彼に追いついてしまった。
DNFした自分が、まだ頑張っているランドヌールを抜くのは大変失礼だ。
なので、かなり距離を置いて後ろをそろり走行だ。

いま話題の熊に注意の看板もある界隈。
もちろん熊鈴は持って来ている。が、鈴程度で本当に熊は逃げるモンかね?ずっと半信半疑。
気がつけば雲が厚くなってきていた。今夜は降るんだろうか。走っているみんなは引き続き頑張って欲しい

ルートから外れ、最短だがそれなりに距離のあるルートで三次市街地を目指す。
ホテルに着いたのは21時40分頃。外で輪行袋に入れてチェックインする。
ここで他のランドヌ数名に逢った。もちろんまだ挑戦中の彼らだ。
常連のランドヌが驚いた顔で言ってきた。
あれっ?こなきさん、どこかで抜かれましたっけ?
グヌヌ…
Fったんだよぉ!
何時までホテルにいるつもりか数人に聞いてみた。
2時には出ると言う方、暗いのは苦手なので明るくなる4時頃に出るつもり…強いな。強さは余裕につながる。羨ましい。
自分も2時半には出発したいと計算していたが、今となっては朝までゆっくりできる。
コンビニで食事を調達し、風呂に入り、朝までぐっすり…

朝になり窓の外を見てみる。
ここのホテル、すぐ隣にマツダのテストコースがあり急傾斜なバンクが見えている。凄い!

本日の帰路は奥さんにレスキューを依頼(弱)。三次市内の牛丼屋で朝食して帰宅。

帰宅後、荷物を置いてゴール受付地点に顔を出してみる。
完走された方の声を聞いてみると、やはり三次以降は過酷だったらしく、いまの自分はDNFで選択誤りはなかった(と、自分に言い聞かせる)。
クローズ時刻である22時になった。
出走25、DNF10とのこと。しかし、現在も走行中の方が居られると言うので、スタッフ一同と共にゴールコンビニに赴き歓迎することに。待つ事しばし。
最後に現れたのは、北広島の山の中DNFした自分の後に現れた彼であった。すごい。やはりPBP経験者。自分もあのまま走っていれば時間外完走できていたのかも…と、後悔の念に駆られる。
ん〜。
走れていないを言い訳に走力が落ちちゃったなぁ…
いや、走力もだがそれ以上にメンタルが弱ってしまってるよなぁ…あの頃のように深く考えずサラッと走ることができなくなってしまっている。
復調する日は来るのだろうか。
でもまぁ”ブルベの練習はブルベに出るしかない”ってのも常套句だ。諦めたら終わり。それがブルベ。
これからもブルベを楽しみますゼ!!
最後に…
今年、国内ブルベを統括するAudaxJapanが発足して20年になりました㊗️
それを記念してAJ広島動画スタッフであるKawamoto兄氏、渾身の記念動画が公開されておりますので、是非ご覧になってください。この動画のあらゆるところに今回のAroundHiroshima600で撮影されたシーンも登用されておりますので。
1日目の明るいうちから,三好以降の坂を気にするのは早すぎですよ。
ちなみに1回目開催したときにRWGを見て,三好以降の坂はきっとトンネルがあって,それほどきつくないはずと思ったら,トンネル1個もないじゃんと思った記憶が。
赤茶色の瓦の民家を見ると、少し懐かしい気持ちになります。
たしか黒瀬の方に、そんな屋根の民家が、たくさんありましたよね。
182㎞の長旅、お疲れ様でした。